Trans Eurasien Expreß seit 2002

 
erscheint z.Zt. vierteljährlich und behandelt bedeutende und/oder interessante Eisenbahnen und sonstige Transportmittel in der Welt, mit Vergleichen zwischen Japan und dem Ausland, Geschichts- und Kulturvergleichen - je nach Thema der Ausgabe. Alle Fotos, Ton- und Videoaufnahmen wurden vom Author selbst aufgenommen, soweit keine fremde Quelle ausdrücklich vermerkt ist.

Mikio Tanaka

 
     
   


 
11. 「超弩級」から「超特急」へ

座標軸を変えた現代ドイツの看板特急ICE3
今回の取材地:
ドイツ
日本
スペイン ロシア


SNCF 最新鋭機 TGV-POS と鼻先を並べた独 DB のエース機 ICE3
  真打登場である。今回はドイツの代表的高速列車、ICE (Inter City Express) の第三世代である ICE3 を取り上げる。ICE3 そのものは頻繁に紹介されているので、半世紀前に日独それぞれに存在した超高速鉄道計画との比較という切り口で眺めてみる事にする。


フランクフルト空港駅で発車を待つICE3。駅は空港ターミナルと直結
しており、カートもそのままホームまで持ち込める。利用者本位のシステムだ。
1 独裁者の見果てぬ夢 

日本では戦間期に東京と大阪を4時間以内、下関を9時間以内で結ぶ一部電化の広軌高速鉄道である弾丸列車計画が存在し、その際着工された新丹那トンネル等は半世紀後新幹線で有効利用されている。更に対馬海峡を海底トンネルで抜け、鮮鉄・満鉄と直通運転する案も検討されていたという。一方、ドイツではヒトラーがアーリア人主体の大帝国実現の暁にユーラシア大陸にまたがる筈の大版図を高速で結ぶ為の超高速超巨大鉄道の構想を有していた。ニュルンベルグの交通博物館に、タイタニック号の壮麗な一等船室ホールを連想させる木壁の彫刻とシャンデリアが美しいこの怪物列車の車内予想図 (後述) があるが、遂に空中楼閣で終わってしまった。これは全くの構想段階で第三帝国自体が滅亡した為で、結果今日まで残っている資料は少なく、私の知る限り Anton Joachimsthaler アントーン・ヨアヒムスターラーの "Die Breitspurbahn (広軌鉄道) " (下記はその表紙) がほぼ唯一のまとまった資料のようだ。


左:「ジオンの赤い彗星」をどこか連想させる不気味な隻眼の巨人機。
手前の標準軌の蒸機ですら日本のマンモス機C62 より2周りも大きいのだ。
右:おそらく日本最大の広軌、琵琶湖疏水インクライン(傾斜鉄道→inclined railwayが
激しく省略された和製英語)は、軌間2200ミリで客貨を船ごと豪快に運んだ(京都市左京区)。
 軌間拡大の是非は超高速鉄道の構想段階では重要な問題だ。広軌なら高出力車両を走らせ易い反面、在来線と軌間が異なれば新・在直通運転の困難という「普遍性」や、必要な区間だけ高速新線を造り高価な都市部は在来線に乗入という方式が困難になり「経済性」で問題を生じる。日本では国鉄の軌間が 1067mm と絶望的に狭かったので、新幹線は弾丸列車の計画時から普遍性や経済性に目を瞑ってでも広軌 (といっても国際標準軌の 1435mm となったが) は必然だった。「元来ガ貧乏ナ国デアルカラ軌幅ハ狭イ方ガ宜カラウ 」という理由で英人技師モレルの狭軌案を了とした大隈重信は後年「狭軌を選択したのは一生の不覚」と後悔していたという。この規格決定の際の元佐賀藩上士の痛恨の誤判断は1世紀後の (鉄道というものが存在し続ける限り更にその後の世代も含め) 日本人に莫大な余分の税負担を強い続ける事となる。


鼻先にDBロゴの無い珍しい編成。
ICEは空気抵抗低減の為か、車体断面が
在来車両より小さいがTGVよりは大きい。
 ドイツでは幸い在来線の軌間が既に 1435mm と広かったのだが、上記の怪物列車構想はスケールが違う。何しろユーラシアにまたがる巨大帝国にあまねくドイツ民族の優越性と武威を示しつつ走り回らなければならないのだ。従って軌間も 3000mm 案から始まって、中には Zeppelin 社の 9000mm、つまり9m (この上を走る客車は何と4階建!!) という超弩級の怪物特急まで検討されたという。日本の弾丸列車や新幹線が「超特急」ならこちらは「超弩急」、こんな化物が地響きを立て砂煙を高々と巻き上げ時速200キロ超で突進してきたら恐怖のあまり失禁する者もいただろう。 尚、この怪物列車に連結される筈だった、腰が抜けそうになる程巨大な食堂車の完成予想図の写真を 第24話 に挿入してある。
2 欧州統合における超高速鉄道の役割

今日の新幹線・ICE共に、かつての弾丸列車や怪物超広軌列車のような軍事的目的や国威発揚的役割を負うものではなく、純粋に乗客の高速輸送を第一義とするものである。ただ、現代でも日独でその役割に多少の差は残る。高度成長期に人口過密地帯で完成した日本の新幹線は大量輸送が至上命題で、普通車は横5列の詰込設計で初代0系に至っては1列車で約1600名もの定員があった。これに対してドイツその他欧州では高速鉄道ネットワークは欧州の統合に資する役割も期待される。欧州の統合という戦後の強力なベクトルはあらゆる制度に具体化されており、例えば加盟国毎に市場を明確に分断する行為は、カルテルや再販価格の維持に匹敵する程違法性の高い競争法違反とみなされる(日本で都道府県毎に市場を分ける協定がどう独占禁止法に違反するのか対比して考えるとわかり易い)。交通ネットワークもこの理念の外ではあり得ない。例えば欧州評議会 Council of Europe 議員会議 1987年決議第 876号* はその第3項において「欧州高速鉄道網は(中略)欧州の統合を促進し、かかるネットワークの構築は (中略) 欧州に大統一市場を創設する為の必須の条件sine qua nonである」とする



ケルン中央駅に接近する編成名(列車名とは別)フランクフルト・アム・マイン号。
この編成には数年後オランダで偶然再会した。(第27話 5枚目の写真)

 高速鉄道の規格統一に関しては欧州閣僚理事会指令も存在する汎欧州高速鉄道指令96/48/EEC号* ))、普遍性にも重点がおかれた。従って、国際標準軌の上を複数電源対応車が走行する必要がある。4電源対応の ICE3 は単電源の 403系と区別して 406系と称される。Baureihe(略してBR)は日本の文献でしばしば「型」と訳されるが、直訳すれば「製造系列」なので、より系統性に比重を置いた「系」の方がニュアンスが近いのではないかと思う。) ICE3 では運転席は中央に据えられ、右側通行・左側通行いずれの国でも不便がないようになっている。
3 ICE3 の実力

総論はこれ位にして性能に移ろう。ICE 初の動力分散方式 (つまり日本の新幹線同様の電車方式) を採用し、加減速性能向上と共に、機関車が前位・後位いずれに付くか、つまり列車の方向次第で許容速度が異なる ICE2 の欠陥が克服された (両端に機関車がある初代 ICE や TGV 一族では起こり得ない問題だった)。次に、省エネ・省メンテ・省スペースに優れる VVVF 可変電圧可変周波数方式を採用し、VVVF 独特の磁励音 (ヒュイーン・ヒュイーンという車の自動変速機を連想させる音) が耳を心地良く擽る。VVVF 自体は最近のハイテク電車の必須アイテムで新幹線も300系以降はこの方式だが、違うのは出力だ。


Montabauerの待避線に停車中の僚機を対向のICE3運転室背後から俯瞰
 電動車1両あたり4個あるモーターはそれぞれ定格出力500kwとちょっとした機関車並だ (ちなみにJR東海のN700系は305kw) が、基本編成はJR式に表現するとクモロ・サロ・モロ・サシ・サハ・モハ・サハ・クモハ (登場時) の 4M4T (8両編成中4両がモーター付の電動車) で、電動車の比率を半分にとどめ経済性にも配慮している。編成出力は500 x 4 x 4 = 8000kw、1トン当り出力 19.6kw (403系)/18.4kw (406系)という怪力は最高許容時速 330km を叩き出す為だけではなく、フランクフルト・ケルン間の高速新線 (NBS Köln-Rhein/Main) の厳しい線形をも考慮したものである。


肌に触れそうなこの近さを現地ではhautnahという。
左端歩道橋の背後に世界遺産のケルン大聖堂が聳える。
  この 19kw 前後という1トン当り出力は、性能で劣るJR 東海の700系 (東海道で大繁殖したカモノハシ顔の新幹線) 12M4T (16両編成中12両が電動車) での18.6kw とほぼ拮抗する。一方JR西500系は16M0T即ち16両全てが電動車の為トン当たり出力は26.5kwに達し、性能的に互角の ICE3 を遥かに凌駕する。こうして見ると、最高速への寄与度という点では MT 比 (モーター付の電動車と無しの付随車の比率) や重量当り出力よりも、モーターの最高出力こそがモノを言うという事か。ならばモーターを強力にする代わりに高価な電動車の比率を低く抑える ICE3 方式の方が安上がりのような気が、素人ながらにする。


上:連結部を調整するエンジニア。巨大マグロに食われているようだ。
下:これで車体が黒く、油でも垂れていれば、「エイリアン
同士のキス」とでも形容したくなる、凶暴そうな二重顎だ。
 ちなみに東海道新幹線の今後の主力になると見られるN700系は14M2Tで編成出力17080kw・総重量715トンと発表されたのでトン当り出力は23.9kwとなり、やはり ICE3 より高スペックであるにもかかわらず最高時速は ICE3 に劣後し、ICE3の効率の良さが光る。但し以上のデータはドイツ側はLeergewichtつまり空車重量、日本側は定員乗車時のものなので多少割り引いて比べる必要がある。世界の高速鉄道の詳細なデータ比較については多くのHPが存在するが、Website über die schnellsten Züge der Welt* が私の知る限り最も完成度が高くかつ更新も頻繁になされている (日本の500系と700系のデータが一部入れ替わっていたりという事も稀にあるが)


地平まで畝り続く緑の沃野を貫く白い大動脈・高速A3号線の6車線を遥か眼下に、長い急坂を
旋回しながら一気に駆け下るダイナミックな3D運動は、最終着陸態勢に入る航空機の感覚だ。
 同区間南部の丘陵地帯は高価なトンネルを極力減らす為カーブや急坂が多く、中には40‰ (=4%) の急坂もあり、ICE3 はジェットコースター超特急 Achterbahnexpreß (名付け親は私だが) ぶりを遺憾なく発揮する。後述のパノラマラウンジから眺めていると遥か眼下に高速道A3号線が見えたと思ったらあっという間に同じ平面まで降り、並んだと思った刹那、下から軽い G を感じるや A3 が再び見る見る眼下で小さくなっていき恰も離陸する飛行機のように丘をぐいぐい駆け上って行くという具合だ。軍用機の touch & go 訓練みたいという比喩は大袈裟に過ぎようが、時速 300km の世界最速のジェットコースターという形容は過剰ではあるまい。


ICE3 同士、相対速度600キロのすれ違いの瞬間。200m の基本編成8両が轟音と
風圧と共に駆け抜ける1.2秒の間、筆者の乗る先頭車が対向列車の窓に映し出される。
 この40‰というのは 100m 先で4m上がる (下がる) という急坂で、比較の為に述べると日本の新幹線は基本的に平坦地仕様で最急勾配は15‰を原則とする 新幹線鉄道構造規則*15条1項)。但し北陸 (長野) 新幹線には30‰区間の難所があるが、これに対処する為「地形上等の為困難な場合は、列車の動力発生装置、動力伝達装置、走行装置及びブレーキ装置の性能を考慮して」35‰まで可能とする例外規定が設けられ (同条3項)、この急坂に対応できる専用車 E2 系を開発し、しかもこの30‰区間は減速運転と、あくまで例外的存在である。その後建設された九州新幹線にも35‰勾配があるようだ。
4 ICE3 と日本との接点

車体はアルミ合金製で、シンプルなキャノピースタイルの外観は、往年の名戦闘機 F104JR西日本の500系にも通じる機能美を誇る。後者との類似性は当然で、ICE3 のデザイナー、南独の Neumeister 氏は500系のデザインも手がけたのである。逆にいうと欧州の鬼才の手になる500系が700系や300系の群れの中でユーロな異彩を放っているのも、その出自を考えれば頷ける。だが、帰国子女がその言動に細心の注意を払わないと浮き上がってしまうように、欧州の衣を纏った唯一の新幹線・500系も「走る欧州出羽守」視される宿命と共にあった。デビューと同時に日本の鉄道界の頂点に君臨した500系は、果たしてその遺伝子組換による異質性や他形式との不統一それに航空機のような円形断面から来る狭さが嫌われ (その高価格も指摘されたが、価格のみが理由ならモーターを強化する反面電動車の比率を下げる ICE3 方式で十分対応できた筈だ)、僅か9編成で生産が打切られ、登場後僅か12年後の2008年には山陽区間のみのローカル「こだま」に格下げという、佳人薄命の鉄道版のような運命を辿る事になる。ICE と 500系を並べた特集記事がルフトハンザ機内誌 Lufthansa Magazin (2000年頃だったか)にあったが、生憎手元に残っていないので模型の比較写真で記事の紹介に代える。


模型の縮尺・配色・細かな造作の差を無視して全体の造形を比べれば、同じデザイナーの作品
である事がわかる。日独の両エース列車の意匠を任されるとはデザイナー冥利に尽きるだろう。
5 接客設備

内装はドイツ人好みのシンプルな明るい色の木目がベースだ。最近の DB のインテリアの特色として、空間に遊びを持たせてある。各車中央部が開放室 Großraumwagen 、車端部が区分室 Abteilwagen という組み合わせだが、1等車を例に取れば、まず区分室は敢えて1席抜いて 3+2 の5人部屋として椅子の向きも工夫して向かいの乗客と足が干渉しないよう工夫されている。次に開放室でも 1+2 の余裕の座席幅である事に加えて通路部分の座席を一部削ってクロークを設置する等 (これらは旧世代の ICE から存在したが)、定員増が至上命題の日本の鉄道とのコンセプトの違いが随所に読み取れ、乗客の輸送密度が全く違うという前提条件を捨象しても、この余裕が羨ましい。この欧州的余裕は総二階建のエアバス A380 プロトタイプの外洋客船のようなゆったりした機内の写真を見た時にも実感し、同質の嘆息をしたものだ。
 ICE3 の初期故障で新聞を賑わしたものは冷房トラブルだろう。フィルターの目詰まりによる自動停止で車内がサウナ化する事故*が続発し、特に猛暑が欧州を襲った2003年は深刻な問題となった。筆者も1度サウナ列車に遭遇して閉口した事があり、車掌が汗だくでミネラルウォーターを無料配布していた。DBは空気抵抗係数を犠牲にしてでも室外機を屋根上に増設する応急措置を講じた。これが文字通り取って付けたような工事で冷房装置が大きく出っ張り通勤電車のようになったが、後に順次流線形カバーで覆われた 。どんなゆったり設計も蒸し風呂では台無しだ。安定した冷房技術は永年高温多湿と戦ってきた日本に一日の長があるようだ。
 欧州車は外面の平滑化に熱心で、ICEも初代以降一貫して開戸時にドアを外に吊り出すプラグドアを採用している (上の写真右)。この方式だと閉戸時にドアと車体は完全に面一になり、視覚的にすっきりする。ただ、この高価なプラグドア方式は最近では高速列車だけでなくローカル気動車ですら用いられているので、空気抵抗軽減という実利目的だけではなく、欧州人の美的感覚にも負うところが大きいのだろう。こう考えると日本では視覚的に凸凹している、扉をスライドさせる横引き方式が乗物のドアでは新幹線から乗合バスまで広く普及し、更に民家の窓に至っては大半がこの方式なのは、襖 (ふすま) の開閉方法に馴染んできたので違和感を感じない為という気がするが、どうだろうか。
また、急カーブ通過時に車端隅が外に張り出してぶつからないよう、両車端部が絞られている (在来の大型客車と共通規格) が、絞りは僅かなので遠目には目立たない。しかしドアは車体幅が絞られている車端部にある為、ホームとの間に隙間ができるので開戸時は階段兼用のステップがにゅっと出てくる (上の写真左)
 15話で見るように DB の特急の運行列車名は芸術家の名前が冠される事が多いが、ICE 各編成そのものにも愛称が与えられ、こちらはドイツ各地の地名が付されるようだ(ちなみにルフトハンザの各機材もドイツ各地の地名が付されている)。上の写真の編成はドイツの数少ない海の保養地から名を取った Sylt 号。
 日本の優等客車は水戸岡鋭治氏のデザインが光る JR 九州を除けば車端デッキ部分は視覚的に寒々としている場合が多いが、大陸欧州の最近の優等客車はデッキ・連結部分を一体化して美しくデザインしたものが多い。ICE3 でもガラス・木目を連続化した曲面を多用して演出した空間を、小型ハロゲンの点光源が星のように照らす事によって欧州では小型断面の部類に入る車体を相対的に広く見せている (意匠に力を入れている JR 九州で画竜点睛を欠くと思うのが照明で、通常の白熱灯を用いている為それでなくても小さな断面の狭軌用車体が益々狭く見えてしまう)
 ICE3 の車内設備の白眉は何といっても運転席直後のパノラマラウンジ Panorama-Lounge だ。運転席と客席は大きなガラス一枚で隔てられているのみでカーテンは無い。ただ液晶が組み込んであって、必要があればボタン一つで白壁に変身する (神戸の六甲ライナーにも住吉川区間の沿線住民のプライバシー確保の見地から同様の液晶ガラスが設置されている)。先頭車前位ドアと運転席の間の数列がパノラマラウンジ席で、流線型車体の為前に行く程狭くなっていく感覚は B747 ジャンボ機の lower deck 最前部を連想させる。また前方が見易いよう階段状に後列程嵩上げする劇場型設計は JR 東日本の 251系や伊豆急リゾート 21等にもみられるが、これらはいずれも観光列車であり、このようなビジネス超特急に予約システムが複雑になる手間をかけてでも楽しい空間を設けてくれる遊び心が嬉しい。
 2002年夏の NBS 開業直後は習熟運転の為運転室内は DB 従業員でぎっしり、ガラス一枚隔てたかぶり付き席もカメラやビデオを構えた鉄ちゃんでぎっしりで結構壮観だったが、1年後に訪れた際はもう落ち着いてがらがらだった。このパノラマラウンジ席を識別できない旅行代理店もあり、その場合は自ら DB の窓口に並んで指定する必要があるが、北向のクモロ (横3列) ・ 南向のクモハ (横4列) 共に通路側の席がお勧めだ。


高品質輸送を「点と線」全体で確保する為、航空機のビジネスクラスに対抗して
1等客用のラウンジも充実している。左上方の大きなガラスはフランクフルト空港
駅のラウンジ外観、右はフランクフルト中央駅のラウンジから見た駅構内。
 実際に前方目視の用に供される部分はキャノピー窓中央下方のごく一部なので、折角最前部に陣取っても窓側席からだとそこからの前方の景色は空しか見えず、文字通り空しい。どうしても希望の席を確保したければ、どんなに後ろに人が並んでいようと些かも動じない厚顔と、窓口で食い下がって ICE3 先頭車パノラマラウンジ専用の座席配置表Sitzplan für Panorama-Lounge。予約窓口には予約可能な全車両形式の詳細な座席配置表を集めた業務用の本が備え置いてある筈だ。尚、制御車は Steuerwagen という) を実際に見せて貰いながら希望席を押さえる鉄の意志とが必要だ。


ICE3 は既に全欧高速鉄道網に組み込まれて運用されている。左:ベルギー経由でパリから到着した
TGV-PBKA (愛称タリス) とケルンで並ぶ ICE3。右:フランクフルトで発車寸前のパリ東駅行 ICE3
6 版図の拡大

ICE3 は仏 TGV (第28・29話参照) と並び、交通面からの欧州統合という任務を能く遂行している。即ち、ICE3 は既にオランダ・ベルギー・スイス・フランスに直通運転を行い、オランダに輸出された ICE3 がアムステルダムCS 駅から逆にドイツに乗り入れている。最後の写真はケルン中央駅における独蘭両 ICE3 の交換シーンだが、オランダ鉄道 NS 保有車も車体塗色はドイツ鉄道 DB に合わせており、鼻先の NS のロゴを見ないと判別できない。


オランダ鉄道NS所有のICE3のドイツ乗入列車がケルン中央駅に到着する様子を、
ドイツ鉄道DB所有のICE3の運転席背後から捉える(左端の人影はDBの運転士)

 スペイン鉄道 RENFE もマドリッド・バルセロナ間高速新線用の車両として伝統のムカデ列車の改良版 Talgo 350 と共に独 ICE 3 をベースにした S103*、通称 Velaro-E E は下記 RUS との対比上エスパニョール Espanol の頭文字と思われる) も導入した。オリジナルの ICE3 から編成出力を更に10%増の 8,800kw (8両時) に引き上げ、今度はスペインの乾いた荒野を 350km/h で疾駆し始める。



左はバルセロナ・サンツ地下駅に停車中のS103、右はサンクト・ペテルブルグ駅に
到着するモスクワからのサプサンСапсан(隼)号。スペイン版はICE3の単なる
色違い、ICE3の中国版、CRH3も漢字が大書してある点以外はオリジナルの
ICE3のイメージそのままだが、ロシア版はライトが9灯もあって賑やかだ。
 ICE3 はゲージや定員を変える等現地の事情に合わせつつその版図を更にロシア Velaro-RUS* 、モスクワ⇔聖ペテルブルグ) や中国 CRH3*、北京⇔天津他) にも広げ、超高速鉄道の世界標準の一角の地位を不動のものにした (尚、ライバル・TGV の版図の拡大については第282930話参照)。ちなみに中国の CRH2、通称「子弾頭」 (北京西⇔上海、上海⇔南京他) はJR東日本の東北新幹線用 E2 系がベースなので、日独の駿馬が北京駅かどこかで仲良く並んでいる姿が近い将来見られるかもしれない。
 
     
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本連載の画像・音声・動画は引用注記の無い限り筆者が撮影・録音。
資料は各脱稿日現在の該当会社・団体のHP、WikipediaWebsite über die schnellsten Züge der Welt 各所掲のデータを参照したもので、それ以上の検証は行っていない。
意見にわたる箇所は全て筆者の私見である。
   
 
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