Trans Eurasien Expreß seit 2002

 
erscheint z.Zt. vierteljährlich und behandelt bedeutende und/oder interessante Eisenbahnen und sonstige Transportmittel in der Welt, mit Vergleichen zwischen Japan und dem Ausland, Geschichts- und Kulturvergleichen - je nach Thema der Ausgabe. Alle Fotos, Ton- und Videoaufnahmen wurden vom Author selbst aufgenommen, soweit keine fremde Quelle ausdrücklich vermerkt ist.

Mikio Tanaka

 
     
   


 
4.浮遊鉄道で空中散歩を

- ① 現代編:世界最古のモノレール -
Die weltälteste noch im Betrieb befindliche Einschienenbahn:
Die Wuppertaler Schwebebahn
今回の取材地: ドイツ 日本


Sie schwebt über Wuppertal, wenn auch unter der
Steinbrücke und vermittelt einen plastischen Eindruck
1 路線概要
 
 ドイツにある鉄道遺産の中でも最も注目に値するものの一つは、独中西部ヴッパー峡谷(Wuppertal)上を走行する、世界最古のモノレール*(註1)だろう。これは羽田・多摩・舞浜・大阪・北九州・那覇等で採用された軌道の上にまたがる跨座式ではなく、湘南や千葉のように軌道からぶら下がる懸垂式だ。かつて日本ではモノレールを「飛行鉄道」と訳した事があり、今もヴッパータールの懸垂式モノレールSchwebebahnを「空中鉄道」と訳す文献があるが、直訳の「浮遊鉄道」の方がぶら下がりながら漂う語感に合う。尚、技術用語的にはeinschienige Hängebahn(単軌条式懸垂鉄道)が正確なようだ。このヴッパータールのモノレールは1898年に着工され1901年に営業を開始したが、その前年の1900年にドイツ最後の皇帝となったヴィルヘルム2世を試乗に招いて開通式を行っており、この時お召運転に使われた車両は皇帝車Kaiserwagenの名で動態保存されている第5話参照)
 
(註1) モノレールの定義次第では1888年開業の Listowell and Ballybunnion Railway (アイルランド南西部)が最古となる。これは軌道断面がA字形のラルティーグLartigue式という極めてユニークなもので、主レール1本の下方に補助レールが2本あるので厳密にはモノ(単)レールに分類できるか疑問だ。フランス人技師Charles Lartigueが左右に重い荷を下げているラクダを見て着想したという同方式は、まずアルジェリアの砂漠で貨物運搬用に敷設(但しロバが牽引)され、その後アイルランドで乗客輸送用に実用化された。巨大な1つ目をおっ立てた蒸気機関車が2つのボイラーを軌道の左右にぶら下げ、食い込んだA字軌道に両断された形の客車の中では進行方向左右を向いた座席が背中合わせ、停車中にA形軌道を反対側に横断できるよう跨線橋車も列車中央に連結、踏切も跳ね橋式というその奇怪な姿は、鉄道愛好家用語でいうゲテモノの極致とも言うべきものだった。内戦で破壊され1924年に惜しくも廃止されたが、2003年にディーゼル駆動ではあるが往時の姿を再現した復元列車が廃線跡の一部を利用して僅か500m程度の観光用ながら運転を再開した。
 


Die Wuppertaler Schwebebahn – Symbol der Stadt Wuppertal – wurde 1901
in Betrieb genommen und ist derzeit die weltweit dienstälteste Einschienenbahn.
Sie steht unter Denkmalschutz und schlängelt sich am Fluss entlang, Sie schwebt
auf ca. 60% der insgesamt 13,3km langen Strecke über Wasser.
 Wuppertalのモノレールの開通は次号で述べるようにドイツの工業力を示す19世紀最後のイベントでもあった。1900年(明治33年)というのは、山手線でいえばまだ環状線にもなっておらず、野原の中を蒸気機関車がのどかに走っていた頃だ。爾来1世紀余、現在は地元の足としてすっかり定着し、Sバーン(DBドイツ鉄道株式会社の高速通勤列車)網に組み込まれ、座席配列2+0式クロスシート(つまり片側は通路のみ、座席定員は48)の直流600V・3両固定編成の連接電車Gelenkzüge 27編成が、最高時速60キロで全長13.3キロの全線複線の軌道を35分で結び、毎日7~8万もの乗客をさばいている。


In der Talstrecke schwebt sie in 15m Höhe. Unten: Bismarcksteg.

 ヴッパー川に沿って細長く発展したヴッパータール(タールは峡谷の意)の町に川沿いに通常の鉄道を敷こうとすれば建築費のかかるトンネルを多用しなければならないので、谷の上の空間の有効活用は確かに名案だった。同線の総延長の約6割は谷上区間で、ヴッパータールの上空15m(道路上区間は上空8m)の高さを保ち、流れに沿って右に左に身をくねらせながら快走する。峡谷を見下ろしながら浮遊感覚を楽しめる運転室直後のかぶりつき席からの3D眺望は、どの観光鉄道のそれにもひけを取らない。下:ビスマルク小橋Bismarcksteg。


Oben: Durchfahrt unter der Sonnborner Brücke auf der die Baureihe
422 der DB fährt. Unten: Ein Flohmarktfund - eine alte Postkarte
der Sonnborner Brücke. Heute fährt hier keine Straßenbahn mehr.

上:峡谷の上をモノレールが走りその又上をドイツ鉄道DB線のアーチ橋(ゾンボルン橋Sonnborner Brücke)が交差する、重厚で立体的な光景。下:蚤の市で見付けた「ゾンボルン橋における3種類の交通機関」と題する絵葉書。現在はこの辺りの風景は一変し、このような広々とした光景は撮影できない。路面電車は廃止され、同橋の上を行く列車の面々も蒸気機関車牽引列車からICE(第3世代は最高時速330キロ)、101型電気機関車(同220キロ)牽引の急行列車や422系交流通勤電車(写真、同140キロ)等に変わった。



Der Hauptbahnhof Wuppertal, erbaut 1926

このヴッパータール中央駅は全線で最も利用者が多く、徒歩数分でDB線とも接続する。1926年に完成のクラシックな駅舎は、他の多くの駅同様ヴッパー川を跨いで建てられている。2000年の軌道リフレッシュ工事の際は多くの歴史的駅舎も建て替えられてしまったが、同駅は軌道支柱と一体化していない為生き延びる事ができたという。2016年に久しぶりに再訪した際、駅の食堂のおやじと客が何語で話しているのかと訝しんでいたら「ショコラーン」と挨拶したのでアラビア語だと分かった。中東から大量の難民を受け入れ続けていたら一般的な光景になっていくのだろうか。



Ein Großteil des schönen Jugendstil-Bahnhofsgebäudes wurde im Zuge der Modernisierung
Anfang dieses Jahrhunderts umgebaut und durch gläserne Fassaden ersetzt, einige Teile
wurden jedoch formidentisch wieder aufgebaut. Oben: Bf Landgericht, Unten: Bf Völklinger Straße

開通当時のドイツで花開いたユーゲント様式Jugendstil(アール・ヌーヴォー Art Nouveau のドイツ版)を取り入れた独特のゼブラ模様の美しい駅舎は20世紀末までは数多く残っていた。しかし老朽化の為今世紀初頭の大リフレッシュ工事で多くは取り壊されたが、幸い一部は再建の上保存された。上:地方裁判所Landgericht前駅の駅舎は2010年に撤去されたが翌2011年に同じデザインで再建された。隣の地裁の建物もなかなか美しい。下: Völklinger Straße駅も同様に撤去の上忠実に再現された。



Oben: zwei Schwebebahnen fahren aneinander vorbei. Unten: In der scharfen Kurve am Übergang
von der Talstrecke über Wupper in die Straßenstrecke steht die würdevolle Sonnborner Hauptkirche.

下:ヴッパー峡谷区間を終え、陸地に上がって道路上空区間に移る急カーブ。道路上空区間の下を走る道路は名称が何度か変わる。その一つがオイゲン・ランゲン通りEugen-Langen-Straßeというが、これは頭上を行き交うモノレールに因んだものだろう。



Auf der Straßenstrecke schwebt die Bahn in 6m Höhe. Um den Straßen-
verkehr nicht zu behindern, sind die Pfeiler in diesem Abschnitt U-förmig.

道路上空区間は道路交通を支障しないように支柱はヴッパー川上空の「ハ」の字形ではなく、逆U字形をしているので、望遠レンズで見ると鉄骨のトンネルの中を行くようだ(左下)



右下:乗客転落防止の為駅の軌道下部に床が張ってあるが、峡谷区間では床はスノコ状で、その下
にWupper の川面が煌く。涼やかなせせらぎ音も聞こえ、川底の小石と共に心も洗われるようだ。
Durch den Gitterboden des Fahrprofils der Bahnhöfe der Wuppertaler Schwebebahn auf der Talstrecke
kann man den klaren Fluss sehen, was auch beim Warten auf den Zug ein erfrischendes Gefühl vermittelt.

同線には、その1世紀余の歴史の長さ故に色々な事件もあった。戦時の廃墟がまだ街に残る1950年、モノレールで輸送中のTuffiというサーカス用の子象が揺れに驚いて車内で暴れ、ドアと窓を突き破って車外(中空)に飛び出しヴッパー峡谷に転落する珍事件があった。この時は象は生きていたが、1999年の事故の時はそうはいかなかった。死者5名を出す営業車両の墜落事故が発生したのだ (或いは5名で済んだのが不幸中の幸というべきか)。 作業員の工具置き忘れによる脱輪と報じられた。右上:事故復旧後の墜落現場を上空の車内から撮影。足場や工事用構造物がまだ川を埋め尽くしていた。この事故を機に列車を全面運休して全線の更新工事が行われる事になった。

 
2 車両
 

2016年から導入が始まるGeneration 15(さすがに第15世代車という意味ではなく、製造初年の2015年から取ったのだろう)は最近の省エネ電車の潮流に倣ってVVVF交流誘導モーター駆動になり車内も照明が(蛍光灯を模した形状ではなく)ドイツ人の好む点光源方式のLEDになる等、ぐっと近代化予定だ。ヴッパー峡谷にこだまするインバーター音を聞きたかったが、納入済の第一編成は調整中で乗る事ができなかった。以下は全て現行主力車のGTW72形についてだ。



Oben links: Der Wagen ist schmal mit einer 2-0 Sitzaufteilung - auf der linken Seite in Fahrt-
richtung zwei Sitze, und auf der rechten Seite nur der Gang. Da nicht in umgekehrter Richtung
gefahren wird, ist der Ausstieg immer rechts. Oben rechts: Gelenkeabteil im Wageninneren.

左上:車体断面は路面電車並の小ささで、座席は2+0配列とでも言うのか、進行方向左側に一方向に並んだクロスシートが2列あり、右側は通路だ。車両は両端の終点駅でぐるりと180度方向転換して常に前進を続け、後退はしない。全線複線で全体的にみると両端が膨らんだ骨形(dogboneという)の線形に沿って、いわば環状運転を行うので後部には運転席は無い。右上:3両固定編成だが中間車は窓一つ分の短さで、内部はロングシートが6席しか無く機能的には座席付連結器だ。下:「下車に際しては車体揺籃に注意」という、懸垂式モノレールらしい注意事項。



Oben: Die Wuppertaler Schwebebahn verwendet das Sytem einer einschienigen Hängebahn vom System
Eugen Langen. Da die Räder nicht abgedeckt sind, hat man einen guten Blick auf den Doppelspurkranz.
上:台車部分は剥き出しなので、50kwモーターと特徴的な両フランジ(通常の鉄道車両の車輪のフランジは内側のみにある)の車輪が丸見えだ。現在は直流600Vだが、Generation 15への置換を機に750Vに昇圧予定だ。下:両端駅での180度ターンを可能にする為、中間車は極端に短く連結構造の一部を成している(下)。車両の底に広告があるのは懸垂式ならではだ。
 
3 転回施設
 

終点のVohwinkel・Oberbarmen両駅には180度転回施設がある他、かつては途中転回用の空中ターンテーブルまであった。



Am westlichen Ende von Vohwinkel wird in der scharfen Kurve der Wende-
schleife mit besonderen Gelenken eine 180 Grad-Wendung vollzogen.

西端のVohwinkel駅。上:到着ホームを出た回送電車が電球状のカーブを描く転回線Wendeschleifeを、身を折るようにして思い切り左に曲がっていく。その合間を縫って天井のポイントが動いて回送列車の出入庫(直進方向)が行われる。車庫のシャッターの向こうに水色のGeneration 15が見える。せめてシャッターを開けててほしかった。下:転回しつつ出発ホームに近付く折り返し電車。余りに急カーブなので、あさっての方角から電車が進入してくる感覚で、遊園地の乗物のような非日常感がある。



Das klassisch gehaltende Bahnhofsgebäude wurde 2007 umgebaut und die Wendeschleife wird
seither besprüht, um das Wenden zu erleichtern. Es scheint, dass der quietschende Lärm dadurch
abgebaut wurde. Im hinteren Teil des Bahnhofs Vohwinkel steht ein Kunstobjekt, das die Besonder-
heit des Gleisführung widerspiegelt, leider ist dieser Bereich für Fahrgäste jedoch gesperrt.
上:同駅建替後は転回線通過を容易ならしめる為か霧が噴霧されており、心なしかキーキー音は減った気がする。下:同駅には路上区間の軌道橋脚をモティーフにしたオブジェがある。その下に馬車の木製車輪が見えるが、道路上を行き交う車を象徴しているのであろう。同時にこのモノレールの長い歴史もシンボライズしていると思われ、なかなか微笑ましい演出だ。乗客は立ち入る事ができない一角にあるが、ホーム西端から眺める事はできる。


Derzeit fahren hauptsächlich Wagen der Baureihe GTW72 Baujahr 1972-75. Ab 2016 beginnt der
Austausch durch die neue Generation 15, die mit einer Drehstrom-Asynchronmotor mit Energierück-
gewinnungsfunktion ausgestattet ist, wie man sie in letzter Zeit bei energiesparenden Zügen findet.

Vohwinkel駅からOberbarmen行が発車する様子。右上のみ改築後の写真。右上右側の白い建物と下の左端は同一の建物だが、ファサードが美しくなっており、前回の訪問から流れた15年の歳月を感じた。構内にあった「線路内立入禁止」ではなく「走行溝Fahrprofil内立入禁止」という標識が面白かった。「走行溝」とは初耳だが、確かに断面は溝状になる。



Oberbarmen - Das frühere Gebäude war im Jugendstil gehalten und auf der Wand des Depots
auf der anderen Seite der Straße war früher ein wellenförmiges Muster zu sehen, das an Wuppertal
erinnerte. Vor dem Umbau fuhren die Züge, die an der Endstation ankamen, zunächst einmal ins
hintere Teil des Depots, so dass im Innern die Züge wie auf einem Rosenkranz hintereinander warteten.

東側の終点、Oberbarmen。バス道路一本隔てて車庫がある。リフレッシュ工事前はユーゲント様式の一大建築で全体の造形もユニークなうえ窓の下の波形模様が水上に建築された事を物語る、興味深い構造物だった。当時はOberbarmenに到着した電車は乗客を降ろした後入庫し、そのまま車庫の一番奥まで行って左折、この辺りで先行車に追い付き庫内で数珠繋ぎになって少しずつ前進して更に左折して出発ホームに戻った。下:車庫の奥の角で順番を待つ皇帝車Kaiserwagen(次号でご紹介する)。庫内立入許可を得て撮影。2012年に惜しくも建て替えられてしまった。



Auch das Depot Oberbarmen wurden 2012 umgebaut - Ein wenig erinnert das Design noch
an das alte Gebäude. Nach dem Umbau wurde die Wendeschleife nach ganz vorne verlegt, so
dass ein ankommender Zug dort wendet und derselbe Zug ohne Warteschlange hinausfährt.

新車庫は白地に黒のチェック模様が僅かに昔日の面影を伝えるが、極めて単純化され、同心円や波模様を組み合わせたファサードに半円窓を組み込んだ独特のデザインの車庫が失われたのは惜しい。ただ機能的には大幅に向上し、改築後は折り返し車両は車庫入口に新設された近道の転回線を通る配線に変更された為、同駅に着いた電車がそのまま折り返す運用が原則になった。この為、駅から見ていると車庫の奥に並んだ車両群の手前に転回中の電車がぬっと顔を出す(上)。Oberbarmen車庫でも転回線には霧が噴霧されるようになっていた。



Ehemalige Drehscheibe und Seitenlinie mit Wendeanlage bei
Bf. Zoologischer Garten. Quelle: http://www.die-schwebebahn.de

かつてZoologischer Garten(動物学的庭園、つまり動物園。現在はZoo/Arena駅に改称)駅折り返しの谷区間のみ運転の電車があったので途中折り返し用にサンダーバード顔負けの空中ターンテーブルがあったが、更新工事で撤去された。人前で騒ぎを起こす事を「Theater machen 劇をやらかす」という面白いドイツ語表現があるが、上空でモノレールがいきなり軌道ごと180°転回を始めたら、文字通りの路上劇で是非見てみたかった。ターンテーブルの更に前は立体交差式転回線があった由で、左下はZoo止まりの電車が転回線に向けて分岐して下っていく様子。右下は転回中。古絵葉書以外はいずれもhttp://www.die-schwebebahn.de/より引用。

 
4 日本における懸垂式モノレール
 

欧州では都市の中量公共交通に関して数々のユニークな試みが行われている第37話参照)が主流は高機能の路面電車で、懸垂式モノレールは少数派だ。懸垂式モノレールは日本でも余り普及していない。



Im Mittelvolumenverkehr ist die Einschienenbahn in Japan nur selten verbreitet, meist kommen automatisch
fahrende gummibereifte Triebwagen mit Betonfahrwegen zum Einsatz (Oben: Kobe, Unten: Tokyo)
 日本における都市中量輸送の圧倒的多数はゴムタイヤ駆動の自動案内軌条式輸送方式( AGT: Automated Guideway Transit)で、1981年のポートライナー(神戸・上)を嚆矢に83年の統一規格策定を経て大阪・神戸・広島・横浜・東京(下)と広がりつつある。しかし遊園地用を除き、通勤の用に供される懸垂式モノレールは開通順に湘南モノレール(1970年)、千葉都市モノレール(1988年)、広島短距離交通瀬野線(1998年、通称スカイレールみどり坂線。外観・輸送力はロープウェイに近い)の3線しかない。ここでは最初に開通した湘南モノレールを比較用に取り上げる。


Einschienige Hängebahnen findet man in Japan nur in der Region Shonan
(Kanagawa), Chiba und Seno (Hiroshima). Das Foto zeigt das Shonan-Monorail,
das eine abwechslungsreiche Fahrt durch die Hügellandschaft und die Tunnel bietet.
 懸垂鉄道の多くは街中に建設されるので景色に多くを期待できないのが一般で、郊外の緑の中を浮遊できる懸垂鉄道は極めて限られる。その意味で峡谷上を浮遊する Wuppertal のモノレールに負けない楽しさを提供してくれる希少なモノレールが湘南にある。跨座式を採用した東京モノレールに遅れる事6年の1970年、三菱重工が主体となって日本初の本格的懸垂式モノレールが運行を開始し、大船・江ノ島間6.6キロを13分で結び、今ではすっかり地元の足として定着している。


湘南江ノ島駅北寄りのトンネルを車外と車内から撮影

湘南モノレールの営業距離はWuppertalの半分で軌道も単線だが、最高営業速度はこれを上回る時速75キロで、途中とりわけ西鎌倉・湘南深沢間<動画参照>は、美しい丘陵を縫い、しかもトンネル・急坂・急カーブと立体的変化に富んだ日本の鉄路屈指の楽しい区間だ。山越え区間以外は、日本最初の有料道路だった道の上空を淡々と進む。Wuppertalも緑豊かな峡谷上の区間と、単調な道路上の区間とに分かれるが、眺めで劣る道路上区間でも、渋滞や赤信号を(横目ならぬ)下目にすいすい風を切って進む懸垂式ならではの景観は、日独で選ぶところが無い。



道路上空区間の様子を対向列車より撮影。同じ懸垂式でもサフェージュ式
・単線の湘南と、ランゲン式・複線の
Wuppertal では随分印象が異なる。
Während die ganze Schwebebahnstrecke in Wuppertal doppelgleisig mit einer Wendeschleife an
beiden Endstationen die Form eines Hundeknochens nachzeichnet, fährt das
eingleisige Shonan-Monorail auf denselben Gleisen schlicht hin und zurück,
so dass es an den Bahnhöfen auf der Strecke häufig zu Zugkreuzungen kommt.
 道路上空の駅に停車中の列車を類似のアングルで撮影すると、ヴッパータール・湘南両モノレールの全体構造の異同が良くわかる。車輪部分が軌道に隠れて保護されている湘南モノレールのサフェージュSAFEGE式(註2)に比べ、ランゲンLangen式と呼ばれるWuppertal方式ではむき出しの大きな車輪が文字通りモノ(単)レールの上を威勢よく転がっていき、なかなかワイルドだ。ゴムタイヤを用いる湘南モノレールと異なりWuppertal方式では車輪・レール・支柱全て鉄製なので、走行音は勇ましい。Wuppertalのような180度転回運転を行わないので急カーブ用の特殊な連接構造は無く同じ長さの車両の3両編成で、双方向に運転するので両端に運転台がある。
 
(註2) この技術を開発した、自動車大手のルノー Renault やタイヤ大手のミシュランMichelenを含む25社から成るコンソーシアム、 Societe Anonyme Francaise d' Etude de Gestion et d' Entreprises フランス経営事業研究株式会社の略。
 

 次号第5話ではWuppertalのモノレールの最古参、明治時代製造の皇帝車Kaiserwagenをご紹介する。

(最終更新:2016年11月 / Letzter Update: November 2016)
 
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