Trans Eurasia Express since 2002

 
is a quarterly articles series, now kindly hosted by H.I.S. London (until No.49 by H.I.S. Touristik Deutschland GmbH) on interesting trains and other means of transportation in Europe, Asia and other corners of the world, with technical, historical and cultural interests. All photographs, sounds and videos are taken by the author unless otherwise expressly mentioned.

Mikio Tanaka

 
     
   


 
60. 幻の成田新幹線と、大空に消えたもう一つの成田エクスプレス

Another Narita Express - A Chopper-Shuttle between NRT and Akasaka, Tokyo
今回の取材地: 日本 ドイツ 中国

連載満15年となる本号では少し紙面を戴き、成田空港の遠さをヘリコプターで克服しようと試みた、森ビルシティエアサービス株式会社(森ビル株式会社の100%子会社、英文商号の頭文字からMCASと略称)の挑戦をご紹介する。ヘリを取り上げるのは第21話の氷河航空Air Glaciers以来だが、氷河航空は主にアルプスの観光飛行なのに対して、MCASヘリは空港シャトルで、性格は全く異なる。



The “Mainhattan”-skyscrapers in Frankfurt am Main can be seen from the landing
airplanes just 2 minutes before touchdown. The Rhein-Main airport (“FRA”) is
very conveniently located – just 13km away from the city center. To the contrary,
Narita (“NRT”) is one of the farthest airports in the world - approx. 70km away.

まず成田と真逆の例から見てみよう。フランクフルト空港到着便が東側からアプローチする時はタッチダウンの僅か約2分前に市中心部南方を掠める。空港~中央駅は僅か13キロ弱で実に便利だ。ドイツ鉄道DBの通勤電車に乗れば3駅目がもう中央駅だ。同空港には遠距離列車専用駅Fernbahnhofも併設され最高時速330kmのICE3第11話参照)等が次々と発着し、遠方からの空港利用者の利便性向上にも大きく寄与している(東海道新幹線の新横浜近辺に国際線・国内線兼用の大空港と空港直結駅を設ける便利さを想像されたい)。主要高速道路A3・A5にも接し、筆者の知る限り世界で最も便利な大規模ハブ空港だ。

次に世界の主要都市の空港への距離を見てみよう。

10km未満 デュッセルドルフ(DUS)、福岡(FUK)、シドニー(SYD)、台北(松山/TSA)
10km以上20km未満 ブリュッセル(BRU)、ダブリン(DUB)、フランクフルト(FRA)、メキシコシティ(MEX)、シンガポール(SIN)、ベルリン(TXL)、チューリッヒ(ZRH)
20km以上30km未満 バンコク(BKK)、東京(羽田/HND)、ニューヨーク(JFK)、ロンドン(LHR)、マドリッド(MAD)、トロント(YYZ)
30km以上40km未満 パリ(CDG)、北京(PEK)、上海(浦東/PVG)、モスクワ(SVO)
40km以上50km未満 ストックホルム(ARN)、モスクワ(DME)、香港(HKG)、ミュンヒェン(MUC)、台北(桃園/TPE)
50km以上60km未満 ソウル・(仁川/ICN)
60km以上70km未満  
70km以上 東京(成田/NRT)
*主として依拠したhttp://flyteam.jp/news/article/43321所収外の空港はGoogle mapsで空港・中央駅間の道路での最短距離に基いた。
*各セル内の各空港名はIATAコードのアルファベット順。
 

こうして見ると成田の遠さが際立つ。遠距離空港には高速アクセスが、超遠距離空港には超高速アクセスが必要だ。成田空港~東京都心間はかつて成田新幹線が計画され1974年に着工されたが騒音問題等で1983年に凍結、86年に中止という残念な展開を辿った。


東京都国分寺市ひかりプラザで保存される国鉄951形は、250キロ運転(当時の東海道新幹線の最高時速は210キロだった)を想定した山陽新幹線岡山開業(1972年)用に試作されたものだ。東海道新幹線初代0系のラインを踏襲しつつ鼻先を伸ばしたデザインだが、山陽新幹線とほぼ同世代に同スピードを目指した成田新幹線も、もし実現していれば初代はこのような顔になっていたかもしれない。



左下:1991年営業運転開始の初代成田エクスプレス・253系同士の離合。右下:2009年
投入開始の2代目・E259系連結部には走行時の揺れ軽減の為の車体間ダンパが見える。
Top: After the Narita Shinkansen-bullet train project between NRT and Tokyo was
abandoned, part of the infrastructures originally planned for shinkansen were converted
into conventional lines, including Tokyo Station of Keiyo Line. Bottom: Narita Express
is neither fast nor frequent because it has to share the track with many commuter trains.

今日、成田新幹線用に着工ないし計画されていたインフラの多くは何らかの形で実現した。即ち、成田新幹線予定ルートの東京寄り隧道区間は京葉線(1990年全通)となって通勤電車が走り、内陸区間の一部は通称・成田スカイアクセス線の高規格軌道となって京成電鉄の3代目スカイライナーが疾走する(2010年~)。また成田新幹線東京駅用に確保された鍜治橋通り地下空間は京葉線東京駅に転用された(上)[註1]。スカイライナーは比較的速い(日本の在来線最速の時速160km)とはいえ東京側ターミナルが日暮里・上野に限られ、また成田エクスプレスは東京・新宿・横浜等に直通するものの俊足とは言えず[註2]約1時間を要し、また通勤電車の間を縫って走るので毎時特急2本・快速1本が基本だ。しかし空港快速は後発の特急に追い抜かれる特急誘導ダイヤなので実質毎時2本で、関東3000万の後背地を擁する大東京の空港シャトルとしては寒過ぎ、総じて超高速空港シャトルという当初の理想からは遠い。

[註1] 成田新幹線東京駅は他の国鉄線東京駅から離れた場所にしかも他の全ての線と直角に計画されたが、これは将来の上越新幹線や中央新幹線との直通運転も視野に入れ、新宿方面への延伸工事を可能にする為だった。右上の写真は京葉線東京駅の終点部。在来線にしては断面の大きいトンネルがこのまま延伸できる構造になっている。成田新幹線新宿延伸案は、今日京葉線の新宿延伸案に形を変えて議論されている。
[註2] 最高時速130kmはドイツ鉄道DBの普通列車の最高時速140kmよりも遅い。成田エクスプレスは千葉経由の遠回りルートなので東京~成田空港は片道約80kmもあり、ほぼ東京~小田原に相当する。だが千葉~成田の線形が悪いにもかかわらず平均時速はJR在来線では速い部類に属する。


ドイツの磁気浮上技術を用いた上海トランスラピッドは、現在世界最
速の空港シャトルであると同時に世界最速の鉄道だ。中右の嵌込写真
の血痕はバードストライクの痕だ。上海磁浮線・竜陽路駅にて。
Shuttle trains much faster than helicopters are already in operation:
Shanghai Transrapid connects the town and Pudong Airport (PVG)
at max. speed of 430km/h using German maglev technology.

次に、そこそこ遠いが利便性が高い上海の例を見てみよう。世界最速の空港アクセス、上海トランスラピッド(上、第1話参照)はドイツが開発した超高速リニア、トランスラピッド(以下「TR」、写真下はドイツの試作車TR08)の技術をそっくり導入(TR08と上海TRは色が違う程度だ)して2002年に開業したもので、浦東空港~竜陽路30.5キロを15分間隔・最高時速430kmで7 分20秒で結んだ(脱稿日現在は最高時速を300kmに抑えている為8分10秒を要している)。超電導技術を用いるJRリニア第2話参照)よりは遅いが、それでもこれを用いれば成田~東京間は僅か15分前後で結ぶ事ができただろう。車体は浮いているので新幹線案の障害となった騒音も殆ど無い。かつてTRの常電導技術を一部導入したHSSTと称するリニアで成田~羽田を結ぶ案があったが、いつの間にか消えてしまった。廃案の経緯は知らないが、自前技術に拘泥せず、例えば中国のようにTRを丸ごと買うという選択肢は無かったのだろうか。



佐倉ヘリポートにはプレハブ小屋が2棟あり、1棟はラウンジになっていた。
右下:効率向上と事故防止の為にテールローターはダクトで保護されている。
In 2009 a helicopter shuttle service started between NRT and Akasaka,
Tokyo. However, the heliport was located in Sakura (the red pin in the
Google Maps above), more than 20km (20 minutes) away from NRT.

高速鉄道アクセスが不十分な中で、遠い成田への速達輸送を目指して2009年9月からヘリ輸送が試みられた。国際線到着ロビーにあったMCASカウンターに到着を告げると、まず担当の運転手に駐車棟に連れていかれる。棟内にハイヤー用の簡易バス停のような待機場所があるのを初めて知ったが、驚いたのはそれからだ。空港敷地内のどこかの隅のヘリポートにでも行くのかと思いきや新空港自動車道から更に東関東自動車道に入り、冨里ICも酒々井PAも通過、佐倉ICでやっと高速を降りた。佐倉はもはや成田・千葉の中間地点だ(上)。駐車棟から佐倉ヘリポートまで既に約25分を要していた。Google Mapsで測ると走行距離何と21.8km、フランクフルト空港と同市中心部をほぼ往復できる距離だが、東京都心へはこの更に倍以上の距離がまだ残っている。都会から遥か離れた地に滑走路2本のみの成田で旅客機の運行を阻害しないヘリパッド用の適地などいくらでもあるだろうに、着陸料等が高過ぎるのか、なぜ佐倉に?という疑問が残った。



Very simple security control and loading

極めてシンプルな保安検査と100%手作業の荷物積込。僅か3段の脚立のようなタラップで乗り込む。キュイーンとエンジンがかかり、ローターが回り出す。背を蹴られたように滑走を始める固定翼機の力強い離陸シーンも良いが、唐突にふわっと浮かぶ回転翼機独特の感覚も好きで結構あちこちで乗ったが、エレベーターのように垂直に上昇[註3]するヘリは初めてだった。周辺の畑や雑木林の地主が低空での通過に反対しているのだろうか。

[註3] ヘリはエンジンが故障した場合、楓の種のような翼果がクルクル回りながらゆっくり落下するように空気抵抗でローターを回転させながら緊急着陸を試みる。だが高度が不十分な時点での故障だと前進速度も無いとこの非常航法が使えないので、増速しつつ斜めに上昇していくのが普通だ。


The “standard” model of Eurocopter (now Airbus
Helicopters) EC135 carries up to 5 passengers

「空の成田エクスプレス」の機材はユーロコプター Eurocopter(現Airbus Helicopters)EC 135だった。同機は第21話で取り上げた2機種のような高空飛行能力は無いが、汎用性が高くベストセラー機の一つだ。MCASのEC135は接客設備の差で2種類あった。これはスタンダード機で、操縦席2席・客室5席だ。中央席は窮屈だが、これまで3回乗って乗客は最大でも3名(最少の場合は筆者のみ)だったので5名ぎっしりという事はグループ客が搭乗しない限り稀ではという気がした。スタンダード機は窓の着色が無いうえ操縦席との間に壁が無く、見晴らしが良い。



The “Hermes” version of EC135 with increased comfort carries up to 4 pax.

エルメスHermès社がデザインした「エルメス機」ではシート表面が皮製になった他、全体がブラウン基調の意匠でまとめられ、窓もブラウングラスとなった。センターコンソールにモニターが組み込まれたが、この短いフライトで使う客はいまいし説明もされなかった。操縦席との間に壁が設けられ客「室」感が増した半面、操縦席を経た前面眺望は悪化した。



左上:エルメス機の尾翼には「レリコプテール」(The Helicopterのフランス語)
表記が躍る。周知のようにHermès International S.A.はフランスの株式会社だ。
The “design first”- approach of the Hermès version, such as the wall which separates the
cabin and the cockpit (mid left) and tinted windows, ruin the aerial view (right).

後述のように総所要時間で見ると時間短縮効果は(特に最終目的地が赤坂近辺以外では)さほどではない。であれば東京の空からの景色も売りたいところだが、デザイン優先のエルメス機は着色窓からの景色は茶色くくすみ、全区間ゴビ砂漠の砂嵐の中を飛んでいるようだった(右はエルメス機の窓から見た六本木ヒルズ、左下はスタンダード機のクリアな窓)。片道標準運賃はスタンダード機(5万円)の何と5割増の75000円だ。性能は同じ(エルメス機は機内が僅かに静かというが、差は実感できず)なので+25000円はデザインに払う事になるが、眺めが悪くなったのにこの追加料金を喜んで払う客がどれ程いたのかは謎だ。



❸: Toyosu area to which the Tsukiji fish market will move.
Bottom: About to land at the rooftop-helipad in Akasaka.
上:夕景の東京都に入った。画面中央の円形の姿勢指示器の上❶辺りが京葉線潮見駅だ。成田新幹線は、同駅西(右)方の越中島貨物駅❷で新東京トンネル(現・京葉線)から地上に出て手前に向かい、撮影位置の砂町付近から原木中山駅辺りまで東西線と並走する計画だった。10時の方向、夕日に輝く運河に挟まれ黒く沈む埋立地❸が築地市場の移転先で有名な豊洲地区で、その先にレインボーブリッジ❹が見える。眼下に林立するタワー群の中からアークヒルズを目指して旋回しつつ降下(下左)、機体を水平に戻して(下右)屋上ヘリパッドにすとんと着地。15分前は佐倉の草深い路傍にいたのだから、空路は速い。


Top right: Tokyo Central Station and Marunouchi
District. Bottom right: The Imperial Palace

ヘリは眺めも良い。右上:北寄ルートの場合は東京駅のすぐ南、日比谷交差点付近を経由する。マンハッタンの半分以下の高さとはいえ丸の内のビル群の3D景観も綺麗だ。現在は東京駅の東西で町の相が全く異なるが、東京オリンピックの頃には東口の八重洲側も高層ビルが林立するというので楽しみだ。右下:機は皇居南方を霞が関の官庁街を経て赤坂に向かう。森閑とした吹上御苑や江戸城本丸跡が美しい。徳川家康の入府当時は江戸城のすぐ東側は海だったというので、ほんの400年前のこの辺りは、このような鬱蒼とした森が「八重洲」という地名から連想される美しい遠浅の海岸線近くまで一面に広がっていたのだろう。



The artificial islands around the Rainbow Bridge were built in
the late 19th Century by the Shogunate government to protect the
feudalistic Japan then under national closure, from the US Navy.

南寄ルートの場合は、お台場~レインボーブリッジ~東京タワー・芝増上寺近辺を飛行する。地上の様々なものが見えない分、空からの方が史跡が目立つ。徳川繋がりでいうと、東京タワーの足元に広がる増上寺は上野の寛永寺と並んで徳川将軍家の菩提寺だ。レインボーブリッジの左側橋脚脇の小島は第6台場跡で、ペリー艦隊再来航に備えて幕府が江戸防衛の為に建造予定だった合計11の砲台中最後に完成したもので、第7台場以降は未完ないし未着工のまま明治を迎えた。





As opposed to the elegantly designed Tour Eiffel in
Paris, Tokyo Tower is simple and function-oriented.

望遠レンズで捉えたレインボーブリッジと東京タワー。こうしてアップで見ると機能一本鎗で、良く比較されるエッフェル塔第18話参照)が鉄骨のアーチの形に優雅な意匠を凝らしているのとは対照的だ。展望階屋根上の雑然とした感じも、昭和の薫りが懐かしい。下:赤坂に着陸寸前の機内から見た東京タワー(この時は着色ガラスの機材なので色補正済)。通常の固定翼機なら数々の東京のランドマークが豆粒にしか見えない高度を一瞬で飛び去るところを、折角低空(高度約2000ft≒600m)を航空機としては低速(約時速250km – 成田新幹線の最高速度と偶然同じだ)で飛行するのだから、観光ユースの客も呼び込めなかったものかと惜しまれる。



MCAS helicopters used the helipad atop the Ark Hills building,
the white twin tower atop the picture. Source: Google Earth

Google Earthからキャプチャしたアークヒルズ(上方中央の白いツインタワー)とその周辺。この僅かな一郭に写っているだけで8つも屋上ヘリポートが確認できる。都内全域では膨大な数になろうが殆どは緊急時用で、脱稿日現在で平時の旅客輸送の利用が許可されている屋上ヘリパッドは山手線内ではアークヒルズだけだそうだ。この慎重な運用の背景と思われる事件があった。かつてニューヨークJFK空港とマンハッタンのパンナム(現MetLife)ビルをヘリで結ぶシャトルサービスがあったが、1977年に屋上で機体が傾きローターがヘリパッドに当たって折れ、破片が屋上の乗客を薙ぎ倒し地面に落下して歩行者も直撃する死傷事故が発生し、即日運行中止となったものだ。パイオニア的事業は一発の事故で終わりかねない一例だ。



Akasaka is closely located from entertainment districts.
Center left: A slender EC135 faces the massive
Roppongi Hills. Source of top left: Google Earth

左上:屋上ヘリパッドを首都高C1線側から鳥瞰したGoogle Earth画像。右上:到着機はアークヒルズに長居せず直ちに引き揚げていく。運行を委託していたエクセル航空の本拠、浦安に戻るのか。画像左下のビル群は新宿副都心。中左:ずっしりと量感のある六本木ヒルズとトンボのように華奢なEC135が向かい合う。中右:アークヒルズに着陸直後。ARKのRの辺りに設置されたライトがヘリパッドと機体を舞台のように照らし出す。下:乗客は手摺がある橋(手前)を渡って階段棟に移動した。 



By changing elevators it took approx. 5 minutes for the passenger to go
down from the helipad to the street level where a car was waiting for the
remaining journey in Tokyo. The entire journey took about 70 minutes from
NRT to my office near Tokyo Station – even longer than the Narita Express.

右上:アーク森ビルのヘリパッド(画像上方)は建物躯体最上面から更に10m程高いところに組み上げられている。乗客は地上まで階段とEVを乗り換えつつ降りるが、最初の乗換はこの躯体屋上面で、ここからヘリパッドを見上げると工場の中のようだ。中:37階のMCASラウンジで寛いでしまうと時間を買った意味が無いのでそのまま1階に降り(右下)、車で最終目的地に送って貰い、これが最終行程となる。たかが空港シャトルに実に盛り沢山なプログラムで、旅行と考えると楽しい。しかし空港~佐倉ヘリポートが25分、離陸まで10分(更に同乗客を待つ事もあった)、飛行時間が15分、地上に降りるまで5分で計55分、赤坂~筆者の勤務先迄車で約15分、計70分を要した。従って成田エクスプレスやスカイライナーの停車駅(東京・品川・渋谷・新宿・上野等)近辺の乗客は、電車さえすぐ来れば電車の方が速い。

更に、ヘリサービスには天候への脆弱さというアキレス腱もあった。雨が有視界飛行を妨げると判断されれば嵐レベルでなくても運休となりその場合は全区間車移動となるが、雨天時の高速は渋滞で時間を要し、何のこっちゃだった。予約時点では利用時の天気は読めないので、これではアウトバウンド利用は雨になっても国際線に乗り遅れないよう早めに行かなければならぬし、インバウンド便でも帰京後すぐの会議設定はリスキーで、高額な運賃の割には時間を買う(=別の予定を押し込める)旨味は少ない。車で最終目的地まで送ってくれるので日本の交通事情に暗い外国の富裕層には響くかもしれないが、数は限られるだろう。

 

 

成田新幹線
(未成線)
成田
エクスプレス
スカイライナー MCASヘリ 上海トランス
ラピッド(参考)
比較区間 東京駅~
成田空港駅
東京駅~
空港第2ビル駅
日暮里駅~
空港第2ビル駅
赤坂ヘリポート~
成田空港 (佐倉
ヘリポート乗換)
竜陽路駅~
浦東空港駅
運行距離 (km) 65 78.2 61 67.3 (空路45.5
+ 陸路21.8)
30.5
所要時間(分) 30 50 36 50 7分20秒
営業最高時速
(km/h)
250 130 160 250(ヘリ区間)/
100(車区間)
430
平均時速(km/h) 130 93.8 101.7 80.8 250
運転間隔(分) ? 30 30 毎日10.5往復
(但し予約ゼロ
の便は運休)
15
最低運賃(円) ? 3,020 2,470 50,000 約850(50元)
*成田新幹線の予想データ(所要時間はノンストップ列車)はWikipediaに基づく。
*NEXとスカイライナーは最速パターンのノンストップ区間同士をジョルダンで比較。
*MCASは佐倉での搭乗手続・待ち時間は10分とした。
 

幻の成田新幹線計画も含め、東京~成田の高速アクセスを比較すると上のようになる(参考までに上海TRのデータも並べてみた)。(i) ヘリの運賃が突出して高いのに時短効果がそれ程ではない事、(ii) 成田新幹線の予想平均時速が意外と遅かった事(東西線並走区間の線形が悪かった為と思われる)、(iii) スカイライナーの健闘、そして(iv) TRの性能が傑出している事、がわかる。

2015年末日、MCASヘリは定期運航を終えた。定着しなかった原因は①ビジネスユースに十分応えられなかった(とにかくヘリポートが遠過ぎる)②観光ユースの客への訴求不足③運賃が高過ぎた事、と整理できるだろう。想定客層をバブルに振り過ぎたというか、コンセプト的に少々無理があったように思える。高性能で楽しい乗物だけに惜しい。詳しい基準は忘れたが、日航等のレガシーキャリアで一定以上のfrequent flyerステータスの乗客が日本発の欧米線等の長距離国際線でビジネスクラス以上に搭乗した場合に「おまけ」でヘリサービスを利用できるキャンペーンが1年前後あり、これなら勿論歓迎だしその航空会社を利用する動機付けにもなり、筆者も4回程利用した(うち1回は雨で欠航)。日本発のビジネスクラスの価格は多少高めと言われているので、そこで吸収できるならこの付帯サービス方式を恒常化できたかもしれない。



今日Googleの衛星画像で佐倉ヘリポートを見るとペンキは剥げ、同street
viewで見るとラウンジだったプレハブ小屋(位置が向かって右寄りに移動
されたようだ)のシャッターは閉まり、只の倉庫になっている印象だ。
The limited time shortening effect and vulnerability to weather made it difficult
to justify the high transportation cost of JPY 50K (standard plane) / JPY 75K
(Hermès version) (approx. USD 500/750) one way - The service ended in 2015.
Above: Sakura Heliport today (Source: Google Earth / Google Street View)

ヘリですら時間を要し、今更TRを建設する訳にもいかずでは万策尽きる思いだが、要は成田が遠過ぎるのだ。羽田の国内線との乗換の不便さに至っては論外のレベルだ。筆者の独断と偏見では、①成田空港はLCC(今後も増加の一途だろう)・貨物機(関東のロジスティクスに劇的改善をもたらした圏央道も2017年2月から成田付近の大栄JCTから東名海老名JCTまで1本で繋がる)・首都圏防衛の自衛隊機専用にして、②都心に近く、空港線~蒲蒲線(予)~多摩川線~東横線~副都心線直通計画等で利便性が向上する一方の羽田を更に拡張してロンドン・ヒースロー空港やシカゴ・オヘア空港のような巨大空港にして国際線・国内線共用とするのが、利用者ファーストの見地からは最良の解決に思える。

準急ユーラシア、次はシェムリアップに停車する。



Next Stop of the Trans Eurasia Express: Siem Reap, Cambodia
Expected Arrival: May 2017

(2017年2月 / February 2017)
 
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資料は各脱稿日現在の該当会社・団体のHP、WikipediaWebsite über die schnellsten Züge der Welt 各所掲のデータを参照したもので、それ以上の検証は行っていない。
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